【足跡】17話
前回までのお話👇
【足跡】16話 - eriaと五感で感じる地球 ~足跡×道しるべ~
【父親の目線】
竜太は警察病院から1㌔半ほど離れたチュラロンコーン大学病院に移動した
帰国する際の納棺の儀式をするにあたって、より環境の良いところでとの大使館員のKさんの配慮だ
夕方、保険会社の車で大使館に行き、
数々の書類を受け取った
そして、竜太の待つチュラロンコーン大学病院へ
予め、妻には言っておいた。
『もう、お前は竜太の姿を見るな。
俺が、ちゃんと確認するから。』と。
今朝の、あの竜太の状態から6時間以上経過している.......
妻には、もう見せられないと思った
キラキラと輝いていた瞳の竜太を
思い出して送ってあげればいい
でも、ボクは父として役目を果たさなくてはいけない
ガラガラ...
ガラガラ.....
竜太がやってきた
確認を促され、ボクは近くに寄り
今朝と同じように竜太の顔を覗き込んだ
やはり、皮膚の色が紫色から黒っぽく変化している
そして、腫れ上がった唇
何かを語りかけているように感じた
神経を研ぎ澄ませ、竜太が言いたかったことを感じ取ろうと努力したが、何も聞こえてこないのが寂しくもあり情けない
空輸するための棺なのか、日本のそれとは違う金属製の棺に竜太は納められた
手際よく棺の蓋が溶接によって閉じられていく
保険会社の担当者の配慮でボクたちが当初手配した航空会社のシンガポール航空から日本航空へと変更してくれた
それもお国柄で遺体といえども貨物と見なされるそうだ
棺の上に他の乗客の荷物などが
乗せられるかもしれないらしい
さすがに日本の航空会社であれば
丁寧に竜太を扱ってくれるとのことで、竜太が帰る便を日本航空に手配してくれたのだ
同じ飛行機でタイを発つまで、あと7時間ほど
竜太は一足先にスワンナプーム国際空港に向かった
*上記の内容は引用した分が含まれています。
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